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酒の分類

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酒は世界各地で生産されています。ところ変われば言語も変わりますから、分類の仕方も地方や民族によって違ってくるわけです。というのは一般論ですが、我々がスーパーコンビニ酒屋飲食店行楽地コンサート会場etrで手にする酒は、「酒税法(昭和二十八年二月二十八日法律第六号)」によって分類されています(というわけで、以下の記述は条文の要約です。もっと詳しく知りたい方は上のリンクから全文をご覧ください)。前提として、酒(酒税法の用語では「酒類」)の定義は「アルコール度数1%以上」。もう少し詳しく言うと、「アルコール」とはもちろんエタノールに限りますし、「1%」は体積比で、15℃のときの値です(ただし、条文で言う「アルコール」は、物質としてのエタノールを指す場合のほかに、「原料用アルコール」と呼ばれるものを指す場合があるようです)。酒は

の9種類と、それらに該当しない

で、都合10種類に大きく分けられます。それぞれについて簡単に説明します。酒税法で定義されたタームはかぎかっこで表します。

清酒
ポン酒=日本酒のことだと思って間違いありません。「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律施行規則(昭和二十八年三月六日大蔵省令第十一号)」 で「日本酒」=「清酒」と定義されています。ただし、次の「合成清酒」は除きます。定義(大雑把に言って、の話。以下同じ)は となります。こしてないものは「酒税の保全および酒類業組合等に関する法律施行規則」で「濁酒」という名前を使ってもいいことになっています。ところが近所のスーパーで「濁り酒」と称して売っていたものには「日本酒」と書かれていました。これはおそらく、こす工程を手加減して濁りが残るようにしたものでしょう(だからこの「濁り酒」は「日本酒」=「清酒」に分類されたのです。変な呼び方ですが。「日本酒」なる語が用意されているのはこのため?)。蒸留すると「しようちゆう」です。原料が麦芽とホップだと「ビール」、果実だと「果実酒」、それ以外だと「雑酒」です。
合成清酒
「清酒」の基準は満たしてないけれど、ぱっと見「清酒」っぽいもののこと。
しようちゆう
焼酎。かな表記なのは「酎」が常用漢字ではないからでしょうが、「よ」「ゆ」が大きい文字なのは謎です。酒税法制定の'53年には既に「しょうちゅう」という表記が使われていたはず(現代かなづかいは昭和21年内閣告示第33号で発音ごとに割り当てられました)なのですが。鬱陶しいので以下、「焼酎」と表記します。定義は、 という具合に、非常に煩雑です。前半の条件は「原料用アルコール」と区別するため。後半は焼酎という語がそもそも蒸留酒を意味していたことに由来します。外延的に定義するには原料が多様すぎる(米、麦、芋はおなじみですね。発芽穀類だと「ウイスキー」、果実だと「ブランデー」ですが、それ以外だとこの定義では「焼酎」になります)ということでしょうね。アルコール分45度を超えると「スピリッツ類」に含まれる「原料用アルコール」で、連続式蒸留機を使って36度以上45度以下だと「スピリッツ」です。しらかばの炭というのはウォッカを除きたくて入れた条件で、ウォッカは「スピリッツ」に分類されます。
みりん
料理に使うアレですね。定義は です。こしてないと「合成清酒」…かなあ。そんなものわざわざ作る人の気が知れませんが。混ぜ方が違うと、「リキュール類」か「雑酒」になります(よほどせこい割合にしない限り)。と言うかこれ以外の混ぜ方だとみりんの面影もないですね。
ビール
何も言うことはないでしょう。定義は ですが、最近話題の「発泡酒」との違いは不純物の量です。発酵の際に加える混ぜ物が重量比で麦芽の半分以下だと「ビール」、麦芽の半分を超えると「雑酒」の中の「発泡酒」。
果実酒類
ワインとかシードルとかのことですね。普通の意味では「原料に果実を含むもの」なら果実酒と呼ばれます。でも酒税法で言う「果実酒類」はもっと狭い意味で、 のみを指します。普通は果実酒と呼ばれる梅酒やらキュラソーなんかは含まれないことになります(「リキュール類」に入ります)。果実を原料とした蒸留酒の「ブランデー」と重複しそうですが、発酵させた後さらに蒸留すると「発酵させたもの」という表現に該当しなくなる、と解釈するらしく という条件が加わります。なお、サントリーによると、この定義を満たすものは一般にワインと呼ばれ、シードルも広い意味ではワインに含まれるのだそうです。
ウイスキー類
ウィスキーとブランデーはよく似ているので、どちらも「ウイスキー類」に含められます。whiskey(またはwhisky。スコットランド人はwhiskyの方が好きだといいます。私はバーボンが好きなのでwhiskeyの肩を持っておきましょう)は「ウィスキー」と表記したいところですが、'53年当時は「ウイスキー」が普通だったようです(外来語のかな表記について、お役所が立場を明らかにしたのは平成三年六月二十八日付け内閣告示第二号が初めてのようです。ここでは「ウイスキー」でも「ウィスキー」でもどっちでもよいことになっています)。閑話休題、「ウイスキー類」の定義は となっています。穀類を使うのが「ウイスキー」、果実を使うのが「ブランデー」と分けられます。「ウイスキー」と「焼酎」との区別は、穀類を「発芽させた」かどうか。発芽穀類・果実以外の原料を使うと「焼酎」で、蒸留してないのは「雑酒」または「果実酒類」です。
スピリッツ類
普通の意味では、ジン・ラム・ウォッカ・テキーラの四大スピリッツを指すと思っていて特に問題ありません。共通しているのは、「蒸留酒で、とても強い」ということですね。広い意味では蒸留酒を指す一般的な語として使われ、その用法だと焼酎もウィスキーもブランデーもスピリッツに入ります。ただし酒税法の定義は例によって回りくどく、 となっています(「エキス分」とは、「温度15度の時において原容量100立方センチメートル中に含有する不揮発性成分のグラム数」だそうです)。冗談じゃありません。それぞれの条項を読み返して、言い換えてみましょうか。 という具合です。ここから「発泡酒」を除くことになります。「みりん」と「合成清酒」はまあ、気にしなくてよいでしょう。「しらかばの炭」とアルコール度数が等しく扱われているあたり笑えますね。「スピリッツ」の定義はさらに面倒です。「スピリッツ類」であって「原料用アルコール」でないものを「スピリッツ」と呼ぶことになっているのですが、「原料用アルコール」というのが「『スピリッツ類』であって、『焼酎』の定義のうち、アルコール分に関する規定以外をみたし、蒸留後には水以外の物品を加えてなくて(つまり香料・調味料などを加えてないってことです)、アルコール分は45度を超えるもの」と甚だ迂遠に定義されていますので、「それを除く」と言われてもねえ…という感じです。
リキュール類
普通の意味では、「蒸留酒に香料・調味料を加えたもの」を言います。カシスとかカルーアがおなじみですね。ベースとなる蒸留酒が何か、はあまり問われないようです。酒税法の定義は、 となっています。混ぜる前の「酒類」がエキス分2度以上かどうか、は問われません。すると混ぜれば混ぜるほど「リキュール類」になっていくわけです。そんなわけで、この定義では缶チューハイなんかも「リキュール類」に含みます。ところが「発泡酒」は除くのです。
雑酒
を指します。よほど雑な酒を除けば、普段目にするのは「発泡酒」ぐらいでしょう。この「発泡酒」が曲者で、「発泡酒」に該当するかどうかの判断は「スピリッツ類」「リキュール類」のそれに優先します。それは「麦が原料で、発泡性がある」ということです。その「発泡性」というのがまた厄介な概念で、ひとたび「酒類」として認められたものに炭酸を加えたものは含みません。だから、「発泡酒」には がある、といえます。混ぜ物が多いと「ビール」になりそこなうことは既に言いましたね。「重量比で麦芽の半分」以外にも、得体の知れないものを混ぜて発酵させた場合「ビール」には該当しなくなります。そこでもしエキス分が2度未満なら「スピリッツ類」になるわけですが、発泡性があれば「発泡酒」です。あるいは蒸留しても発泡性が残っていたり、蒸留した後に炭酸以外のもので発泡性を与えたりすれば「発泡酒」になります。これは非現実的な可能性ですが。ほかに、「ビール」に果汁などを加えてエキス分が2度以上にすれば「リキュール類」になりそこなって「発泡酒」になります。いずれにせよ、「発泡酒」は大雑把に「不純物の多いビール」と考えてよいでしょう。
「粉末酒」なる怪しげな商品も「雑酒」に含まれます。なんでも世界中で佐藤食品工業株式会社だけが製造しているそうです。流通量は推して知るべし。

「第3のビール」

追記。去る2004年には、「第3のビール」と呼ばれる新種の酒にかける税率を上げるとか上げないとかいう議論が持ち上がりましたね(結局、当座は増税なしという結論に落ち着いたわけですが)。手元の資料が不十分で、いささか心もとないのですが、「ビールよりも税率の低い発泡酒が多く売り出されるようになったので、2度にわたって発泡酒を狙い撃ちした増税がなされ、魅力が薄くなった発泡酒とは別のビール風飲料として開発された『第3のビール』にも増税しようという動きが起こったが、関係者の強い反対に会い不発に終わった」というのがおおまかな流れのようです。では「第3のビール」とは何か。元祖はサッポロの「ドラフトワン」で、これは原料が「エンドウマメ」です。麦芽を使っていないのでビールでも発泡酒でもなく、その他の「雑種」に該当します。それに追っかけで作られたのがサントリーの「スーパーブルー」。こちらは「発泡酒に少量の麦焼酎を混ぜたもの」です。これがどうして「発泡酒」の定義から外れるのか、リンク先の条文からはわからなかったのでサントリーに問い合わせてみたところ、こういうことでした。

2003年4月税務署発行の「酒税法の改正等のあらまし」によりますと、「麦芽を原料の一部とした酒類で、麦を原料の一部としたアルコール含有物を蒸留したものを原料の一部とした発泡性を有するもの(エキス分2度以上のものに限る)」は「リキュール類」に分類されます。「スーパーブルー」はこの定義にあたるため「リキュール類」となります。

最近の改正で、ほとんど「スーパーブルー」のためだけに用意されたような例外規定ができていたようです。お客様センターの渡辺さん、ありがとうございます。最近のニュースによると、アサヒとキリンもこの「第3のビール」を始めるということです。夏場は激しい争いが展開されそうですね。

さらに追記。問題の条文は未入手ですが、国税庁の「酒類関連情報」で「発泡酒」の定義が変わったことについて記述がありました。調べが甘かったようです。サントリーの鷲見さん渡辺さんごめんなさい。

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last updated : 18 January 2005
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